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semスキン用のアイコン01 豆の保管:8 semスキン用のアイコン02

  

2010年 04月 26日

●4つ目の劣化要因、しかし手が届かないもの=酸化の真実

・特に開封後は不可避な「酸化」
物質のほとんどは酸素の影響で劣化します。これを酸化と呼んでいます。
酸化の速度を遅らせることはできますが、影響から完全に逃れることはできません。

コーヒーの場合、酸素濃度1%以上では、ほぼ同じ速度で酸化が進行すると言われます。
通常の大気には18-20%程度の酸素があります。
いちど開封済みの、ある容器内部の酸素を減らす努力をしても、
家庭にある器具や道具で1%以下の濃度を実現するのは困難です。

・抗酸化物質も含むコーヒー
ポリフェノールという抗酸化作用のある成分が、コーヒーに含まれていると言います。
この働きでコーヒー豆の酸化は、比較的ゆっくりと進行するらしいです。

・豆の表面から脂質が表出する
植物はみな脂質を含んでいます。コーヒー豆にも含まれています。
深煎りのコーヒー豆の表面にはテカリのようなものが見られますが、
脂質が表出したものと言われています。

焙煎によって豆の内部にできた炭酸ガスの圧力によって脂質が豆の表面に出ること、
また、焙煎で豆の表面が傷つき、そこから脂質がしみ出すと考えられます。

食用油の管理などで、脂質は酸化しやすいと思われていますが、
ポリフェノールの作用と、炭酸ガスに覆われた状態(=酸素に接していない)のために
コーヒーの酸化はゆっくりと(でも確実に)進んでいると言えます。

 ***
検査による酸化の進行よりも、
味覚で感じとる変化(=変質)のほうが早いと言われます。
そもそもコーヒーの味わいの変化は、とても繊細です。
焙煎直後からのコーヒーを毎日飲み続けると、これは明白にわかることです。

ひとつ言えることですが、嗜好により好みのポイントは異なります。
焙煎直後の味わいを「フレッシュ」と評することもできますし、
逆に「未形成である」と感じることもあります。
また、すっかり落ち着いた状態のコーヒーを好む場合もあります。
これらをブラインドでテストすると、意外な結果が出ることもあり興味深いものがあります。

また世の中に出回っているコーヒーの、量的に大部分のものは「すっかり落ち着いた」ものです。
中には酸化してしまっているものもあるのですが、
経験としてそれがコーヒーの標準であると「教育」されている場合もあるのです。

 *** 結論 ***
酸化を気にするならば、手持ちのストックを減らして短期間に消費することが合理的です。
常に在庫が新鮮であれば、酸化を気にせずに済みます。

※参照「コーヒー検定教本」全日本コーヒー商工組合連合会刊

by mottano | 2010-04-26 16:37 | コーヒー生豆・煎り豆