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semスキン用のアイコン01 育種学をかじる:3 semスキン用のアイコン02

  

2010年 06月 10日

●コーヒーが病気に弱い理由

ベランダ園芸で接ぎ木、挿し木、実生を体験してきました。
植物の生長を見るのは面白いことですが、一方で全滅や病害虫も経験しました。
植物の栽培をすると手は汚れるし、面倒もあります。もちろん楽しみもあります。
たくさん経験したことが、机上の理屈に手応えを与えてくれます。

 ***
・コーヒーはもともと弱虫
アラビカ種自体が遺伝的に近い存在です。近縁の交配でつくられた現在の栽培種は、
競走馬がデリケートであるのと同様にコーヒーは繊細な植物と言えます。
ブラジルの天候不順がコーヒーの相場を大きく動かすのも、これがひとつの要因です。

・殖やし方にもポイント
接ぎ木、挿し木で増やすメリット=クローンと同じであること、
大量のコピーが可能なため、急速な普及、大量生産に応えることができる利点があります。
一方で遺伝的に同一ということは、病害虫への耐性も同じと言うことです。
場合によっては全滅のリスクをはらんでいます。

一方実生(タネから殖やす)ことは、環境適応の面で強さが期待できますが、
遺伝的にはバラエティ豊かになりやすいため一長一短とも言えます。

・歴史が証明すること
1:インドネシア
19世紀後半に、さび病で一度全滅したと言われます。
その後ロブスタ種(アラビカ種とは遺伝的に異なり、病害には比較的強い)への切り替えが進み、
わずかに残るアラビカ種ではマンデリン、トラジャなど高級ブランドが知られています。

2:スリランカ
こちらも19世紀後半にほぼ全滅、原因は同様にさび病だったと言われています。
これが現在紅茶の産地として知られるきっかけになりました。

 ***
高地の原生林に埋もれるように生きていた、コーヒーの樹。
これを商業的に生産するには、困難があります。
遺伝的なリスクをいかに回避するか、これも品種改良の技術で克服すべき課題です。

by mottano | 2010-06-10 08:03 | mottano頭の中