●伝統なんて現実の前では無力に近い
ブラジル、コロンビア産の新豆がぼちぼち出揃ってきた。
多少気になっていたことなので、ひとまずは安心した。
(価格はそれなりだけど、自分にコントロールできることではないので)
ブリックスという括りで、ブラジルが経済の「次にやってくる」プレイヤーと紹介されたのは、21世紀の初頭である。すでにコロナ以前でも、コーヒー原料の展示会などに招待される現地生産者の身なりは、展示会を見物する日本人たちより堂々としたものだった。いつの間にか、世界におけるポジションは逆転していたのだろう。
で、何が言いたいか。コーヒー生産国における傾向として、豊かな国ほど「価格で勝負しない」。
東アフリカでは頭一つ抜きん出ているケニア。中米エリアでは、運河収入が強力なパナマ。どちらも高級コーヒー市場では欠かせない生産国だ。
ブラジルが同じ道を辿らない、とは言えない。20世紀のイメージ、巨大な農園で機械化された大規模農業というステレオタイプは変わり始めている。
***かつて成功していても、環境の変化、ルールの変更で立場が変わることは、よくある。競争がある社会で、誰もがより良い未来を目指すのだから、当然だ。
***近年のブラジル産を見ていると、そういうトレンドを証明する味わいに出会うことがある。サントスNo.2のイメージを大切にしている人も、機会があれば新しい世代の味わいを体験してみるといいと思う。
何を感じるかはその人次第だ。